文学散歩に行ってきました!

●令和4年度 野々市市読書会連絡協議会 文学散歩レポート

令和2年と令和3年度の文学散歩はコロナで中止していましたが、今年度は感染防止対策の規制も緩和されたことから実施することにし、メンバー13名の参加で5月11日行われました。行き先は令和2年度に企画されていた、能登音楽堂と七尾美術館を見学するプランをそのまま、シェイクスピア劇と七尾出身の画聖、長谷川等伯のそれぞれの文化施設をめぐる文学散歩としました。野露読書会では事前に、「ハムレット」と安部龍太郎の「等伯」を読んでいて、読書会としての参加申し込みであることをそれぞれ見学担当者と学芸員の方にお伝えしました。能登音楽堂の案内係の方は、無名塾の塾生の方らしく稽古場での仲代達矢の様子やマクベスの時の馬の厩舎のことなど、普段聞くことができないエピソードをふんだんに交えて紹介してくれました。圧巻はやはり高さ7メートルある舞台背面の開閉式壁面で、開けると生の林の中の空き地が登場する舞台でした。そこは劇場の外になるわけで、舞台装置も人工ではなく天然になります。だから木などは根っこから抜いて移動させることもあったということでした。見学当日は天然の藤が木の上の方まで伸びて、林の左手上部は満開の藤の花を見ることができ、当館ならではの見物にもなりました。この劇場は演劇専門に仲代達矢の監修のもとに作られ、音については俳優の声が生で十分聞こえる配慮が、客数や座席配置や壁の形などに施されているとのことでした。とにかく熱っぽい解説を聞いて、ここ七尾を拠点に本物の芝居を提供する無名塾の意気込みを感じました。また、こちらから仲代達矢と七尾との関係について質問をすると、七尾にあるFRP製造の会社が舞台創作物の製造を請け負っていた経緯から、七尾のロケーションを紹介し仲代達矢が一目で気に入ったと答えられました。しかし劇場の完成には多額の建設費もかかり、地元の人たちの熱心な勧誘活動もあって実現したことには間違いないと思われました。昼食は、七尾市の老舗料亭「青海楼」のランチをいただいて、ゆったりと歓談の時間を過ごしました。午後の部は、毎年春の時期にシリーズで行われている、長谷川等伯展を鑑賞しました。最初に学芸員の方の説明がアートホールで約20分ほどあり、こちらも等伯研究者としての熱い解説を聞くことができました。等伯展は毎年企画展示の趣向を変えこれまで27年続いているそうです。当初の展示では安部龍太郎の時代小説「等伯」が直木賞を受賞したこともあって、等伯の人気は一躍全国的に上がることになり、等伯のある美術館として七尾美術館も知られるようになったそうです。今回は北國新聞での最近の研究成果の紹介もあり、有名な「松林図屏風」の水墨画風の絵とは対照的な彩色された図屏絵が多数展示されていました。解説の終わりには、狩野派と長谷川派の確執に触れ、小説にあったような狩野派の妨害は実際にあったのかという読書会にふさわしい質問もあり、七尾美術館との交流もできたと思います。今回の文学散歩は、七尾の二つの文化施設を訪ねるものでしたが、現地のスタッフの方との交流を持つ良い機会になりました。

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